宵闇
深煎り — カカオと焦がし黒糖
夜がいちばん、火に近い。
京都・西陣。路地のいちばん奥、二階の小窓に灯がひとつ。街が眠るころ、ここでは一台のドラムがゆっくりと回りはじめる。灯火珈琲は、深夜の静けさのなかで豆を焼く、小さな焙煎所です。
良い焙煎は、時間を早めることではありません。豆の芯まで熱がとおるのを、火のとなりで静かに待つこと。私たちは一釜ごとに立ち会い、はぜる音と立ちのぼる香りだけを頼りに、火を落とす一瞬を見きわめます。深夜を選んだのは、その音がいちばんよく聞こえるからです。
季節ごとに焼き分ける三つの定番。深く沈む「宵闇」、燠火のような余韻の「残り火」、夜明け前の澄んだ「白夜」。どれも西陣の水と、深夜の静けさで焼き上げています。
深煎り — カカオと焦がし黒糖
中深煎り — 焼き林檎とヘーゼルナッツ
浅煎り — 白桃と紅茶
深煎り。カカオと焦がし黒糖、余韻に一滴の煙。
中深煎り。焼き林檎とヘーゼルナッツ、まろやかな酸。
浅煎り。白桃と紅茶、澄んだ後口。